疲れやすいのはビタミンB12欠乏症かも? 原因や症状、予防法を医師が解説

疲れやすいのはビタミンB12欠乏症かも? 原因や症状、予防法を医師が解説

 

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脳機能の維持や赤血球の生成サポートなど、さまざまな働きをもつビタミンB12は、 健康な体でいるために欠かせない栄養素。ビタミンB12が重要な理由、ビタミンB12欠乏症の症状、1日の摂取目標量を達成するための方法について、イギリスの総合診療医ロジャー・ヘンダーソン医師が教えてくれた。

 

ビタミンB12とは ?

 

別名「コバラミン」と呼ばれるビタミンB12は、健康に不可欠な水溶性ビタミン。赤血球やDNAの生成、神経系の健康を維持するうえで重要な役割を果たしているほか、疲労感や倦怠感を防ぎ、免疫システムをサポートしてくれるという。

 

ビタミンB12は、果物や野菜には含まれておらず、魚、肉、卵、乳製品、鶏肉などの動物性食品に天然に含まれている。パンや一部のシリアル、植物性ミルクなど、ビタミンB12を強化した製品からも摂取できる成分だ。

 

ビタミンB12欠乏症の原因

 

ビタミンB12欠乏症は一般的な症状で、とくに高齢者によく見られる。ビタミンB12を食事から十分に摂取できていない、もしくは食事から十分に吸収できていない場合、そのリスクは大幅に増加する。一般的なビタミンB12欠乏症の原因は次のとおり。

 

原因その1. 悪性貧血

 

悪性貧血は、イギリスで起きるビタミンB12欠乏症のもっとも一般的な原因で、自己免疫疾患に分類される。ビタミンB12を含む食品を食べると、胃壁細胞で作られる内因子というたんぱく質とビタミンB12が結合する。この結合物は小腸を下って移動し、終端部で体内に吸収される。

 

悪性貧血の場合、体が内因子とそれを製造する細胞に対して抗体を作ってしまう。これにより、ビタミンB12と内因子の結合が妨害され、体がどんなビタミンB12も吸収できなくなってしまう。

 

どうしてこんなことが起こるのか、正確な理由は不明だけど、悪性貧血は50歳以上の女性、および家族歴がある場合によく見られる。また、アジソン病、関節リウマチ、甲状腺の疾患など、別の自己免疫疾患を患っている人にも発生する可能性が高いという。

 

原因その2. 投薬

 

一部の薬を飲むと、ビタミンB12の吸収が遅くなったり、ブロックされる可能性がある。よく使用されるのが、プロトンポンプ阻害薬やH2受容体遮断薬といった制酸剤。これらの薬を飲んでいると、食品に含まれるビタミンB12の放出を助ける胃酸の分泌が抑制されてしまう。

 

もう1つの薬が、糖尿病の治療薬としてもっとも一般的に処方されているメトホルミン。ビタミンB12の吸収に関連している薬にはほかにも、いくつかの抗てんかん治療薬、コルヒチン(痛風の治療薬)、抗生物質のネオマイシンがある。

 

経口避妊薬を長期間服用している女性も、わずかにリスクがあると言われているけれど、上記に挙げた薬に比べると、ビタミンB12の吸収に影響を与える可能性は少ないみたい。

 

原因その3. ダイエット

 

厳格なヴィーガン食を守っている人は、ビタミンB12不足に悩まされる可能性がある。ただし普段からバランスの取れた食事をしていれば、影響を受けることは稀だそう(完全に動物性食品なしの食事をしているのは、イギリスの人口の約1~2%)。

 

原因その4. 胃腸の不調

 

ビタミンB12を吸収してくれる腸の一部を手術によって切除した人は、ビタミンB12欠乏症になることが多い。

 

同様に、クローン病などの炎症性腸疾患や、胃壁の内層が非常に薄くなる萎縮性胃炎のような胃腸の疾患を抱えていると、ビタミンB12の吸収に影響が出る。ヘリコバクター・ピロリ感染症の人も、ビタミンB12欠乏症になる恐れがある。

 

ビタミンB12欠乏症の症状

 

一般的なビタミンB12欠乏症には、貧血に関連した次のような症状が挙げられる。

 

・血色の悪い肌

・疲労感と原因不明の倦怠感

・呼吸困難

・めまい

・頭痛

・動悸

・気分の変化

・耳鳴り

 

悪性貧血の症状は、口内炎、舌の痛み、口の側面のひび割れなど。ほかにも、手足のしびれ、視力の低下、気分の変化、黄疸などがある。

 

ビタミンB12には、神経繊維を取り囲んで絶縁体の役割を果たすミエリンという物質を生成する重要な役割がある。そのため、ビタミンB12の欠乏によりミエリンに影響が出ると、手足のしびれや、チクチクした痛みを感じるようになるという。

 

ビタミンB12欠乏症の診断

 

ビタミンB12欠乏症の診断は、血液中のビタミンB12値を測定する簡単な血液検査によって行われる。ビタミンB12値が低い場合は、追加の血液検査(胃壁細胞と内因子に対する抗体検査)を行って、悪性貧血が原因かどうかを調べる。

 

また、放射性のビタミンB12を使用して、体に十分な内因子があるかどうかを確認するシリングテストを行うこともあるそう。

 

ビタミンB12欠乏症の治療

 

ビタミンの体内貯蔵量を増やすために、はじめのうちはビタミンB12の注射を頻繁に行う必要がある。徐々に注射の頻度を2~3か月ごとに減らし、ビタミンB12を補充し続ける。この注射は一生続ける必要があるけれど、欠乏症が単に食生活に起因する場合は、注射ではなく、ビタミンB12のサプリで十分な場合もある。

 

悪性貧血で推奨されるビタミンB12の投与量は、神経障害の有無によって変わる。障害がない場合、最初の2週間は週3回、それ以降は3か月に1回注射する。

障害がある場合は、より頻繁に投与する必要がある。一般的に、症状が改善されなくなるまで週3回、その後2か月に1回注射する。

 

通常の長期治療法では3か月に1回注射をするけれど、ビタミンB12欠乏症の患者のなかには、3か月たつ前に治療効果がなくなる人もいる。その場合、もう少し頻繁な治療が必要になるという報告もある。

 

サプリが必要な場合、1日あたりの推奨用量である1.5μgを超えて摂取してもあまり意味はないという。ビタミンB12は水溶性のため、たくさん摂取したからといって過剰摂取によるリスクはない。というのも、体が単に余分なものとして排出し、体内に貯蔵しないから。

 

食事でビタミンB12の量を増やすには、赤身の肉、魚介類、ビタミンB12を強化した朝食用シリアル、低脂肪乳、ヨーグルト、チーズ、卵など、ビタミンB12が豊富な食品を積極的に食べるよう心掛けるべき。

 

補足情報

 

ビタミンB12の治療をはじめてすぐに、貧血の症状が改善したという人は多い。通常は年1回の血液検査で、ビタミンレベルが正常であることを確認するのと同時に、全血球数、葉酸値、甲状腺機能(悪性貧血の人は、甲状腺に問題が起きる場合が多いため)といった、ほかの検査も行う。

 

慢性的なビタミンB12欠乏症により神経損傷が発生した場合、治療が困難なため、完全に回復しない恐れもある。また治療で貧血自体は良くなったとしても、悪性貧血は胃がんの発症リスクを高めるそうで、悪性貧血の人の胃がん発症率は、そうでない人と比較して約3倍にもなるという。

 

だからこそ悪性貧血と診断されたことのある人は、消化不良、胃痛などの胃の症状や、体重減少が見られる場合、常にかかりつけの医師に報告するようにしよう。

 

translation : Mutsumi Matsunobu

 

※この記事は、海外のサイト『netdoctor』で掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。