鳥インフル発生の養鶏場、殺処分が本格化 平飼い卵のかき入れ時に肩落とす業者

 

鳥インフル発生の養鶏場、殺処分が本格化 平飼い卵のかき入れ時に肩落とす業者

 兵庫県淡路市の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザが発生したことを受け、県は26日午前、鶏約14万6千羽の殺処分を本格化した。白い防護服姿の県職員と陸上自衛隊員計約650人が24時間態勢で防疫作業を進める。県は、県内の全ての養鶏場などに施設内の見回りや消毒の再徹底を呼び掛けた。同日正午時点で異常の報告はないという。

 県は、鶏の殺処分を27日にも終える見通し。殺処分した鶏は順次、淡路島内のごみ処理施設2カ所に搬入し、焼却する。一連の作業は12月上旬までかかるという。県は、発生した養鶏場の鶏7羽から「H5亜型」の鳥インフルエンザを25日に検出。詳細な遺伝子検査のため、うち2羽の検体を国の機関に同日中に送った。検査結果の判明には数日かかる見込み。感染経路の解明などに活用するという。

 発生した養鶏場には26日午前9時ごろ、白い防護服で全身を覆った関係者が数十人ずつ入っていった。養鶏場前には、普段から近くの住民がよく使う道路が通る。車で通りかかった人たちは速度を落とし、見慣れない光景に視線を注いだ。自衛隊の拠点となった閉校した小学校の運動場には「災害派遣」と記された車両などがずらりと並んだ。迷彩服姿の隊員を見た住民は「何が起こったのか」と戸惑った様子をみせた。

 島内のほかの養鶏業者も対応に追われた。発生した養鶏場から半径10キロ以内の搬出制限区域に指定された同市内の業者の男性は、卵を宅配する顧客らへの連絡で早朝から受話器を握りっぱなし。自然に近い環境で生まれた平飼い卵は歳暮での引き合いが多く、「11月中旬からは注文が急増するかき入れ時だった」と肩を落とす。

 南あわじ市内の養鶏場は、鶏舎の清掃・消毒作業を今まで以上に徹底して取り組む方針を決めた。男性飼育員(51)は「渡り鳥が運ぶ病気なのでどこまで対策できるかは分からないが、できることは全部やりたい」と話した。

 農林水産省は26日、県の防疫対策を支援するため、池田道孝農林水産政務官を兵庫県に派遣した。同日午後、井戸敏三知事と会談して情報共有などをする。