広島県三原市で県内初の鳥インフルエンザ 2カ所で計13万4千羽を殺処分に

広島県三原市で県内初の鳥インフルエンザ 2カ所で計13万4千羽を殺処分に

 

 三原市内の養鶏場で鶏が相次いで死に鳥インフルエンザの簡易検査で陽性になった事案で、広島県は7日早朝、PCR検査で高病原性とみられる「H5亜型」のウイルスを確認したと明らかにした。同日午前9時半から約13万4千羽を殺処分する。県内では、国内で79年ぶりに発生した2004年1月以降で初の事例。中国地方では約6年ぶりの発生確認となった。

 県は同日午前6時半から県危機対策本部の本部員会議を県庁で開催。本部長の湯崎英彦知事は「封じ込めへ初動対応を徹底する。防疫措置、まん延防止対策を全庁挙げて迅速、適切に進めてほしい」と指示した。

 湯崎知事は会議後、「広島県は全国でも鶏卵の生産が多く、非常に厳しい事態と受け止めている。周辺県で発生し備えてきたが、拡大しないよう万全を期したい」と強調した。同日午前11時45分からは県庁で池田道孝農林水産政務官と会談し、連携を確認する。

 県は鳥インフルエンザが発生した三原市の養鶏場(飼育数約8万1千羽)と、同市で同じ法人が経営する別の養鶏場(約5万3千羽)の2カ所で殺処分し、消毒作業をする。県職員660人を投入し、派遣要請した自衛隊からも約200人が加わる。

 また、発生した養鶏場から半径3キロ以内で鶏や卵を移動させないように指示し、三原市の計3カ所約21万7千羽が対象になる。同10キロ以内では区域外へ搬出できないようにし、三原、尾道2市と世羅町の計10カ所約68万9千羽が含まれる。また6日午前2時から発生養鶏場の半径10キロほどの7カ所で、出入りする車両の消毒をしている。

 県によると、県内には100羽以上を飼育する養鶏農家が約100戸ある。現時点では、ほかに鶏の異常の報告はないとしている。

 発生した三原市の養鶏場では鶏が相次いで死んだため、通報を受けた県東部畜産事務所(福山市)が6日午後2時20分に立ち入り検査。同日午後4時、簡易検査で鳥インフルエンザの陽性が判明した。県西部畜産事務所(東広島市)によるPCR検査で7日午前3時、高病原性が疑われる「H5亜型」と確認したという。

 高病原性鳥インフルエンザに感染すると多くの鳥が死ぬ。国内では今年、香川、福岡、兵庫、宮崎、奈良に続き、6県目の発生となる。

 広島県は、香川県三豊市の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザが確認されたのを受け、11月6日に防疫連絡会議を開催。農家から県畜産事務所に連絡があった場合は、速やかに簡易検査をする態勢などを確認していた。

 中国地方では国内で79年ぶりとなった山口県阿東町(現山口市)の養鶏場で04年1月に発生。これ以降、15年1月までに山口、岡山、島根の3県で計5例確認されている。

 

中国新聞社