慢性疼痛からの脱却には多少の痛みがあっても動かすこと、運動療法が大切/大須賀友晃連載

慢性疼痛からの脱却には多少の痛みがあっても動かすこと、運動療法が大切/大須賀友晃連載

 

 

■慢性疼痛からの脱却

 

3カ月以上続く痛みを慢性疼痛(とうつう)と言いますが、腰痛や肩痛などが続いている読者の方も多いのではないでしょうか。

 

整形外科で薬を処方してもらい、リハビリや電気治療などを行っている方もいらっしゃるでしょう。しかしなかなか良くならない…。痛みのために動かさないでいると、痛い箇所以外にも支障が出てくることも少なくありません。

 

例えば、腰痛のために長期間歩かなくなると→筋肉の萎縮が生じ→さらに動けなくなっていき→不安定になり→さらに膝などが痛むということも生じます。

 

慢性疼痛が活動性の低下を引き起こし、活動性の低下により痛みが取れなくなり、慢性疼痛から抜け出せなくなるのです。この慢性疼痛の改善に運動療法が推奨されることは、日本はもちろん、国際疼痛学会でも掲げられています。

 

私が以前所属していた愛知医科大学学際的痛みセンターの牛田享宏(うしだ・たかひろ)教授は「動き続けられる体力を維持することが何よりも一番大切」と常日頃から話しておられました。慢性疼痛からの脱却には「多少の痛みがあっても動かす」こと、運動療法が大切です。もちろん、運動して良いかどうか、どれだけ運動して良いかは医師の判断が必要です。時々、運動してはいけない状態(骨折・腫瘍・感染など)もありますので、まずはしっかりと医師の診察を受けて、運動禁止とならなければ積極的に動いていくことをおすすめします。そして痛みがあるならば、動くために痛み止めを使ってください。