約5人に1人の子どもに「お口ポカン」「いびき」の症状…気になる「口腔機能」発達の実態

約5人に1人の子どもに「お口ポカン」「いびき」の症状…気になる「口腔機能」発達の実態

 

全国の3~12歳の子どもについて、口腔機能の発達に関する調査を行ったところ、気がつくと口が開いてしまう「お口ポカン」な状態や、鼻が詰まっていないのにも関わらず「いびきをかく」などの症状が、約5人に1人の子どもにみられることが分かりました。基本的な機能が十分に発達していない「口腔機能発達不全症」の可能性があるといい、調査した会社は注意を呼びかけています。

 

【写真】7人に1人が「なかなか飲み込めない、10人に1人が「滑舌が気になる」…調査結果を見る

 

株式会社ロッテが全国の3~12歳の子どもを持つ親である男女400人を対象に、2022年5月に実施した調査で、このほど結果が発表されました。

 

「口腔機能」とはしっかりと食べ物を噛んで飲み込める、舌を上手に動かすことができるなど、口周りに関する基本的な機能のことを指します。2018年には、15歳未満の子どもにおいてこれらの機能が正常でない状態を指す「口腔機能発達不全症」という病名が新たに制定され、治療に公的医療保険が認められるようになりました。しかし、むし歯予防などに比べて「口腔機能の重要性」はまだ広く認知されていないといいます。

 

「口腔機能が十分に発達していないことのあらわれである各症状」の割合を調査したところ、約5人に1人の子どもに「お口ポカン」(18.0%)、「いびき」(18.8%)の症状が見られることが分かりました。

 

また、6~7人に1人の子どもが 「やわらかいものばかり好んで食べている」(16.0%)、「食べ物をなかなか飲み込まない」(15.5%)、10人に1人の子どもが「滑舌が気になる」(11.5%)、「片側の歯・顎ばかりで噛んでいる」(11.0%)といった症状が見られることが判明したといいます。

 

さらに、子どもの年齢を2歳ずつに区切って分析した結果では、3~4歳の子どもの22.5%に「お口ポカン」、3~4歳・9~10歳の子どもの25%に「いびき」の症状があることも分かり、それぞれの症状を総合して見ても、低年齢の子どもほど症状を持つ割合が高くなる傾向が見て取れるといいます。 

 

また「歯」と「口腔」の意識比較について見ると、64.3%の親が「子どもの成長において『むし歯予防』を普段から意識している」と回答したのに対し、「『口腔機能の発達』を普段から意識している」と回答した親は29.5%にとどまりました。

 

自身の子どもの幼稚園・保育園・学校での、むし歯と口腔機能発達の関する取り組みに関する質問でも、「『むし歯予防』のための取り組みが行われていた」と回答した親が58.3%であったの対し、「『口腔機能の発達』のための取り組みが行われていた」と回答した親は27.5%、「分からない」と回答した親が約半数に及び、関心具合の違いが伺える結果になったそうです。

 

2018年に制定された「口腔機能発達不全症」という病名については、67.3%の親が「病名を知らなかった」と回答。その一方で、「口腔機能発達不全症」がむし歯や歯周病、やせ、肥満を引き起こす可能性があることを伝えると、74.0%の親が「症状を改善したい・対策が必要だと思う」と回答し、病気の認知度は低いものの、具体的な症状やリスクに対する危機感は高く、改善・対策の必要性を感じる親が多いことが分かったといいます。

 

最後に、マスク習慣での口腔機能への意識については、「ここ1、2カ月で、子どもがマスクを外す時間が増えた」と回答した親のうち、51.4%の人が「子どもの『歯・口』の健康状態を、より意識するようになり、変化に気づきやすくなった」と回答しました。マスクを外す時間が今後増えることが予想されるなか、口腔に対する意識もあがると考えられるといいます。

 

なお、今回の調査結果について、福岡県福岡市の「みらいクリニック」院長で、口呼吸を鼻呼吸に改善していく簡単な口の体操「あいうべ体操」などを考案している今井一彰医師は、以下のようなコメントを寄せています。

 

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日常的なマスク習慣により、テレビを見たりして集中しているときのお口ポカンや口臭といった将来の病気のリスクが文字通り「マスク」(覆い隠される)されてしまっています。口元への意識が薄れてしまうと、いびきや歯並びの悪化などの増加も懸念されますし、慢性的な口呼吸を引き起こしかねません。

 

口呼吸は、むし歯や歯肉炎、歯並びの悪化といった口の問題だけでは無く、鼻炎、アデノイド(咽頭扁桃)肥大、中耳炎・副鼻腔炎など鼻疾患も引き起こします。普段から発音、しゃべり方などに注意し、マスクに隠された口の状態はどうなっているのだろうかと気にしてみてください。口腔機能の健全な発達は、全身の健全な発達を促しますから、噛み応えのある食事を積極的に摂ることや口周りの筋肉を鍛える運動も推奨されます。また心配な場合は小児歯科医など専門家の診断を仰ぐようにしてください。健康な口作りは将来の病気を予防したり、健康的な生活を送るための第一歩です。

 

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