“鼻づまり”だけじゃない 国内に200万人?「副鼻腔炎」とは
副鼻腔(びくう)炎とは、鼻の周囲にある副鼻腔という空間が細菌やウイルス感染、アレルギーなどによって炎症を起こしている状態を指す。一般的には蓄のう症とも呼ばれ、年間の患者数は軽症も含めれば約200万人いると推測される。岸田文雄首相のように手術するケースは3万人程度とみられ、珍しい治療ではない。
【図解でわかる】「副鼻腔」ってどこ?
副鼻腔炎は鼻づまり、うみ混じりの鼻水、眉間(みけん)や頰、おでこの痛み、発熱などの症状が出る。自然に治る場合もあるが、なかなかすっきりしない場合は慢性化している可能性がある。
東京慈恵会医科大学の鴻(おおとり)信義教授によると、副鼻腔炎はまずは内服薬や点鼻薬など薬で治療を進めるが、鼻の中にポリープができるタイプは薬で治りづらいものが多いという。手術では、患部が奥まで広がっている可能性があるため、片側に四つある副鼻腔の中を内視鏡で観察し、たまっている鼻水を除いて洗浄したり、ポリープを切除したりするという。患者の安全や術後ケアのためにも数日入院し全身麻酔下で実施されることが多い。アレルギー体質が背景にあるタイプでは、手術後も薬を飲んだり、毎日鼻を洗浄したりするなど治療を続ける。
副鼻腔炎は慢性化すると生活の質(QOL)にも大きく影響する。鴻教授は「鼻づまりと鼻水、嗅覚低下、頭痛、睡眠障害が続き、中耳炎やぜんそくを併発する場合もある。QOLが下がってきたこともあって、大事な仕事を前に思い切って手術を決心されたのだと思う」と推察した。【金秀蓮】